子育てから私たちが学んできたこと
はじめに
我が家には16歳になる息子がいます。
結婚8年目にして念願だった子どもの誕生は、私たち夫婦に大きな喜びと成長の機会を与えてくれました。
最近、身近な友人や同僚から、“パパやママになります、なりました” と嬉しい報告が届きました。その度に倖せのお裾分けをもらい、心がほっこりした気持ちになります。
今日は、そんな新米パパ・ママの友人に向けて、親としてまだまだ発展途上の私たちですが、みなさんより少し早く子育てを経験し、その体験から学んだことをシェアしたいと思います。
学んだ一番大切なこと
(今も続く) 子育ての過程で学んだ一番大切なことは「親のこだわりをすてる」ことでした。
子育ては、振り返ると笑ってしまうぐらい想定外のことが次々と起きる。
「親の思い通りにはならない」「エゴの押し付けは逆効果」そのことに気づけた時に、肩の力を抜いて子育てに向き合うことができた。そのように思います。
子育ては人間万事塞翁が馬そのものと言って良いかも知れません。
親としてできることはあっという間
幼少の頃はどこに行くにも後をついてくる息子の姿が愛らしくて、週末は寝起きと共に決まって外でバスケットボールとキャッチボールをして遊びました。奥さんの本の読み聞かせを毎晩せがみ、寝る前の何よりの楽しみにしていました。
[夫婦の学び] 今この瞬間の子どもの関心に寄り添い、子どもの興味や関心の変化にあわせる。
(写真:父親の真似をする息子(当時2歳))
親として初めての大きな試練
入園そして、中退
あれは息子が3歳半の頃でした。 “ママ、あと何日寝たら幼稚園?” と夜布団に入る度に尋ねていた息子。
半年後、待ちに待ちわびた入園式の帰り道、あれほど楽しみにしていた幼稚園にも関わらず、息子は浮かない表情でした。
(写真:幻の入園式 2012年4月(当時4歳))
意外なひと言
幼稚園2日目の帰り道、ひと言。「ママ。僕、あの幼稚園にいかなくてもいいかも」
えっ?
息子を授かった日、五体満足に生まれてきてくれたことだけで感謝。
以来そんな気持ちで、育ててきた私たち夫婦にとって、初めてぶつかった大きな試練でした。
何かが違う
彼なりにその理由を説明しようとしてくれましたがそこはまだ4歳、中々要領を得ない。ただ「直感的に何かが違う」そう感じたようです。
その子の性格によって、親の反応も対応も変わってくると思います。
「そうだね」だったり、「でも、それって他の子も感じてるかもね、それでも我慢して行ってるかも知れないよねぇ」と。
家族会議
では、私たち夫婦はどうしたか?
その晩、子どもも交えて家族会議を開いたのです。
息子は小さいながらも自分の意思を持って、嫌なことは嫌とはっきりと口にする性格であったこと。押し付けではきっと逆効果になるだろうと。であれば、子どもの意思を尊重してみようと。
きっと、子どもの性格によるんだと思います。息子は無理矢理は絶対ダメだというのは一番近くにいる奥さんが感覚としてもっていて、そのことも尊重したいと思いました。
そして
親の微かな期待とは裏腹に、一週間が経ち、そして一ヶ月が経ち、さらにそこから半年が経過。ホームスクールが日常と化した頃、海外赴任のチャンスが訪れます。
親の心配を他所に、息子は上海での幼稚園生活をおもいっきり愉しんでくれました。
(写真:幼稚園入園後間も無く、初めて自分の名前を書いた日のこと)
振り返り
今、当時を振り返り良かったと思うのは、夫婦の意見が一致して導いた結論だったこと、“まず息子を信じてみよう” という気持ちを貫けたことです。
一方では、内心 “このままもし小学校も行かないって言われたらどうしよう” とも。
奥さんの方はと言うと、“今だから自信を持って言えるけど、当時は世間全部が敵に見えて私が間違ってるのかもしれない、と自信を無くして落ち込む毎日でした” と。
親のエゴで良かれと思って、子どもに何かを押し付けることは、長い目で見れば良い結果をもたらさない。甘やかすことと、子どもの意思を尊重することの境界線は正直難しい、だからこそ、親は悩んで当然だと思うのです。(我たちもそれが正しいって確信など持てなかった)
子育てって奥深い。これからも想定外の事態に都度翻弄されるんだろうと思います。そんな時こそ『夫婦一致団結、そして子どもを信じて尊重する気持ちが大切』そのように感じます。
お風呂で語ってくれた夢
風呂に一緒に浸かりながら、当時7歳(小学2年生)の息子に将来何になりたいの?って投げかけてみた。普段自分のことを多く語らない息子にしては珍しくすんなりと答えてくれました。
(パパ) 将来何になりたいの?
(息子) 分かんない。ゲーマーかな
(パパ) やりたいことが今から見つかるってすごいこと。やるからには一番目指してみたらどうかな。
(息子) うん
今の子どもたちが大人になる頃、65%は今存在していない職業に就くと言われています。そんな不確実な時代を背負って立つ子どもに “この職業はどうだとか”、自身の物差しで押し付けること自体、ナンセンスだと感じたのでそう答えました。
続けてきた取り組み
私たち夫婦が息子をこの世に授かって以来、12年に亘り続けてきた習慣があります。日々の出来事を『今日の息子へ』と題して、誕生した日に発行した息子用のメアドに写真と共にメッセージを配信してきました。
そんな取り組みがこの12年で4,000通+αのメールと20枚のアルバムという形になりました。それが、離れて暮らす互いの両親(息子にとってのおじいちゃん&おばあちゃん)への近況報告にもなり、とても好評でした。
成人式の日にサプライズプレゼントする日を夫婦で夢見ていたのですが、12歳の時に息子の知るところとなり、敢え無く取り組みは終了となりました。(今は両親にスマホで日々の息子の近況を送り合っています)
これは、奥さんが寄せたとある日の『今日の息子へ』のメッセージです。
“おかげさまで5歳になりました(*^^*) 君の個性がだんだん出てきました。あなたは喜びも悲しみも感謝の気持ちもそして怒りでさえも、どちらかというと表に出すことが苦手です。でもママにはあなたが何を考えているかよくわかります。ママはいつも親として伝えるべきことは伝えて、怒るべきところは真剣に怒り、あとはなるべく信頼するようにしています。気をつけていてもママは女性なので、感情的に怒ることがありますが、後で必ず謝ります。君は「うん。」といつも許してくれます。ママに理解できない理不尽に思える行動は、どうして?とあなたの意見を聞きます。間違えていなければ、なるべく受け入れるようにしています。すると、ちょっと後で、「ママ大好き」と言ってくれます(*^^*) 健康に産まれて元気に育ってくれてありがとう。5歳の誕生日おめでとう!”
子どもと向き合った先に訪れた結果
“やりたいことが今から見つかるってすごいこと。やるからには一番目指してみたらどうかな”
“うん”
そうお風呂で交わした会話が今から6年前。
以来その言葉通り、息子はゲームにのめりこみます。
ゲームの興味の対象や、プレイするデバイスは変わりながらも、これと決めたものに取り組んでいる時の息子の集中力たるや目を見張るものでした。
やりたいことに夢中で取り組む息子の姿を私たち夫婦は歓迎し、応援し、見守ってきました。
ここ数年夢中になっていたのは、OSU!という音楽に合わせて流れてくるオブジェクトをキーボードでタッピングするリズムゲーム(ジャンルは4K)
そして先日、ワールドランキングで世界1位の座を手に。
アクティブユーザー数:1,980万人(世界242ヶ国)
それから1年が経ち、息子の興味はゲームから、クラシックピアノへ。(不思議なものです)
育んだ自信と親子の信頼
対話を通じて息子の取り組みを応援してきたこと。それは息子にとって親に信頼して貰えたこととして伝わりました。親からの信頼そして、やり遂げたことが本人の自信にも繋がり、それは本分である勉強にも驚くほどプラスの影響を与えてくれました。
[夫婦の学び] 子どもに押し付けないこと。求められた時は自分の手を止めて、全力で向き合う。夢中になることは、頑張ることを凌駕する。
さいごに
100組の家庭があれば、100通りの子育てがあってよいと思うのです。
子育ては試行錯誤を繰り返しながら、それぞれの家族にとってのあり方を追い求めていくもので、周りに左右されてしまう誘惑をどう断ち切ることができるか。
「子育てはその子のありのままをいかに受け入れることができるか」そう奥さんは言います。その通りだと思います。
親子で考え方に相違があると感じれば、子どもの意見 (なぜそう思うのか?) にまず耳を傾け、理解を示し、尊重する。
そして何よりも、誰よりも子どもの味方でいてあげることだと思うのです。(だって、親がしてあげることはこれぐらいしかないと思うから)
こんな気持ちで夫婦で子どもと向き合っています。
(写真:上海にて 2013年 )