個が活きる時代
先日、日本からシリコンバレーに企業研修で訪れていた皆さんに向けてセッションをコーディネートさせてもらう機会に恵まれました。
担当したセッション、最終発表会・打上げでの対話を通じて、今の20代の彼ら彼女たちが、どのような仕事観、人生観をもちながら日々の仕事や日常に向き合っているのかを伺い知ることができた学び多き6時間でした。
研修の大きなテーマが『変革』ということで、私が受けもったセッションでは、Stanfordのオンラインプログラム (LEAD) の立ち上げを牽引した人物(Fernando)を招聘し、立ちはだかる壁をどう乗り越え0→1を実現したかをそこからの学びを交え、熱く語ってもらいました。
私自身は同プログラムの修了生そして、現役のCourse Facilitator & Coachとして、セッションのファシリテーション(兼通訳)を務めました。
伝えたいことが、どのように伝わったかを如実に示してくれるのがフィードバックです。全ての発信する側に立つ人にとって、受け手のフィードバックは成績通知書でもあり、改善の宝庫です。
そんなアンケートの集計結果をドキドキしながら待つ中、打ち上げで参加者の一人からこんな問いかけがありました。
“Kaneさんはいつもニコニコで愉しそうです。どうしたらそんなに笑顔でいられるのか、初めてセッションでお会いした時にお聞きしたいと思っていました。”
その言葉はこう続きました。
“今週シリコンバレーで起業家や投資家、教育者の皆さんをはじめ多くの方々とお会いしました。その中で第一印象で、今も記憶に残る雰囲気を醸し出している人が二人居て、その一人がKaneさんでした。”
これは嬉しいフィードバックでした。
生き方の軸足が、組織中心から個人中心に変化していると感じる中、そして生成AIが多くの働き手の仕事を担える社会に待った無しで突入する中で、『自分らしさ』を表に出していくことが日本でも受け入れられる世の中になっていくであろうと確信しています。
今の社会は、購入者がその組織のパーパスに共感できるかどうかが、求職者はその企業への入社の動機になり、購入者はその企業の商品を買い求めるかの判断基準になっています。
企業の商品・サービスがコモディティ化(一般化・大衆化)していく先に訪れるのは、誰からそれを買い求められるかという点に収斂されていくと予想します。
これまで組織に属していれば、営業であれば当たり前のように自分の担当企業がアサインされていた時代から、クライアント企業が営業担当者を指名する世界へ。こんな世界が直ぐにやってくる筈です。
そうなると、クライアントがこのサービスを “私” から買い求める理由をきちんと示し、共感を得ることのできる、個人としての魅力、言い換えれば“ 人間力を磨くこと” が、組織としてこれまで取り組んできたブランド力や商品力の向上といったものと同様に、待った無しで個々人にも求められていく気がします。
他者と比べて優位か否かというより、自分が自分らしくいられて、そうした自分に共感を感じてもらい、それが選ばれる判断軸になる社会に魅力を感じます。
個々人が誇りに思える生き方を実践し、その体験を人びとに広めていくこと。そうした積み重ねの先に、そんな社会が創られていくと思います。
誰もが持ち得る自分の魅力を引き出し、その魅力を磨くことを支援する、それが僕が実現したいことなのだと、先日のセッションは気づかせてくれました。