ヒューマン・コネクション【5】

クライアントからの手紙

人が困難に立ち向かい、成長していく過程に立ち会えることがどれほど尊く、誇り高きことかを気づかせてくれた一通の手紙。より多くの人にこの手紙を読んで何かを感じてもらいたいと思い、今回クライアントの承諾を得て、お届けすることにしました。

Kaneさんへ

無事転職も決まり一息つき、Kaneさんとのコーチング資料を見直していて、改めてこのタイミングでKaneさんへの想いをお伝えしたいと思い、筆をとりました。本格的なコーチングをお願いしてから、約15カ月となりましたが、この期間中はいいことも悪いこともたくさん経験ができ、その中で内面的な成長を感じました。特に、周りの環境への感謝や自分の心構え・行動により、人生がより豊かになることを学べたのは、自身の人生の中でも大きなものだと感じています。

振り返ると、この期間は自分の経験や進め方ではままならないことが続く日々でした。その中で自分なりにもがき苦しむことで、自分との距離感を掴むことが上手くなってきたような気がします。がむしゃらに頑張ることだけがベストではなく、自分の心身レベルと向き合い、時には自身を労り、充電することが重要であることがわかりました。


今振り返ると、全ての事象を自分の責任にすることで、思考を停止していた自分が客観的な事実を捉え、その上で不完全な自分を少しずつ許容できるようになるための学習期間だったのではないか、という風に捉えています。


2023年9月から新しい職場に転職し、研修が終わった直後から体調を崩してしまい、それ以降は休職・復職を繰り返しました。当時は、自分の能力やアプローチが悪いせいで、あのような状況になったと思いつめ、精神的に非常に苦しい状況が続きました。


しかし、今振り返ると、自身の成功体験やプライドに固執することが、転職先での適応を阻害した部分があったなと反省する一方、体調を崩すタイミングが不運であり、会社のシステムやルールが不合理であった部分も多々ある等、外的な要因も多分にあったように感じます。

自分がコントロールできない部分について多くを考えすぎてしまうと、自責の念により自身を傷つけ、現状を改善するための思考を止めてしまうことがあることを改めて実感しました。


一方、どんなに辛い状況であっても、人生の手綱は自分が握るという意識も重要だと感じました。自分が精神的に辛い時に殻にこもって、一人で悩むのは簡単でしたが、それではいけないと感じ、「真に強い人なら何をするだろう?」と考えた時にいきついた先には、自分が精神的に辛く・休職しそうな状況を同期に知らせ、助けを求めることでした。

周りから、自分が劣っていると思われる、もしくは自身が苦境に陥っていることを自分で認めることは、自分の今までを捨て去るような思いがあり、当時の自身にとっては非常に辛い決断でしたが、その先には想定と大きく違う世界でした。

同期から慈愛あふれるコメントをもらい、同じような悩みを持つ人から頼られたりするようにもなり、自分は積み上げた成功により評価されるわけではないのでは、というごく一般的な事実を直視することができました。最終的には転職先を離れ卒業し、新たな道を進むことになりましたが、得られたものはたくさんあり、後悔はありません。

常に仮説を持ち、自分が主体的に行動することが苦境を開く突破口になることを学びましたし、他人と自分は違うので他人の芝生は常に青いし、他人に過度な期待を寄せることは消極的な姿勢につながり、いい結果を生むことが少ないことも実感しました。

退職後は、心身の不調と経済的苦境に悩まされました。親に経済的に頼るところまで行きつき、情けない気持ちになることもありましたが、親と対話する中で、自身に向けられている思いを感じ、精神的な結びつきはより強まったように感じます。成功している自分を見せることが、唯一の親孝行だという思考に陥っていました。

今では、自身が健康で、自立して生きているだけで十分孝行になっている、ということを納得しながら生きています。不完全な自分を支えてくれる家族に改めて感謝し、可能な限りのお返しを形にしていきたいという思いが芽生えてきました。

そのような紆余曲折を経て、周りの期待をゼロとしたときに、改めて自身に残りの人生で何をしたいのか?と問いかけました。「自分がやってきたことを踏まえると、まだまだチャレンジできるはず。自分の可能性はもっと大きいはず。自分は終わっていない。」という確かな直観がそこにはありました。自身の独立を含め、様々な方にお世話になりながら自身のキャリアを考え、最終的には新しい職場で新規事業開発に従事することになりました。

この決断は、卒業後数か月、様々な方の支援を受けながら自身と向き合い、人事を尽くして得られたものですし、今はこの決断をいかに成功させるかを考えていこうと思います。

上記のような形で、自身の価値観や周辺の人々との関係性をより探索し、人生の指針を再構築できたのは、Kaneさんの助けがあったからだと確信しています。定期的に自分の想いをアウトプットし、人生の大先輩であるKaneさんとお話しできることは僕にとっては人生の支えであり、貴重な学びの機会となりました。

2025年がどんな一年になるか、今から楽しみになってきている自分がいます。確実に言えることは、去年の今頃より柔軟になり、主体的になり、また人の痛みを知ることができたように感じます。

引き続き、Kaneさんと一緒に人生という長い学びの旅路をご一緒したいと考えております。

今から、Kaneさんと来年についてお話できることが楽しみではありますが、長くなってしまったので、この続きは次のセッションにて!

心からの感謝を

通説では人生において人と人が出会い、その中で友人と呼べる人と出会う確率は2億4000万分の1とも言われています。こんな天文学的な数値を前にして、クライアントとの出会い、そこから育まれた信頼は、私にとって誇りそのものです。

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